今日は反貧困ネットワークが主催する「貧困問題の抜本的解決を求める院内集会&対話集会」へ弁護士事務所から駆けつけた。最近は駆けつけや生保申請同行以上に弁護士事務所での債務整理や貧困ビジネス被害対策、住居追い出し案件の相談が多い。昨日夕方も訪問したがクリニック同行も増えている。家族関係やブラック労働で追い詰められた相談者が70%を超えている。「生きていく中で良いことなんか一度もなかった」誰かを殺めて、加藤智大さんのようになりたい。人生に希望なんか持っていない。ネットの中だけが逃避できる場所。「僕たちの将来は終わることのない貧困と絶望」疲弊する支援現場、この現状を国会議員にも知ってほしい、一緒になって政策を変えてほしい、省庁も現場の悲鳴を聞いてほしい。そんな思いを込めて開催した今日の集会、省庁とは対決ではなく「対話」したいと思った。しかし集会前に出揃った各省庁の事前回答書の中身に判っていたといえ虚し過ぎる冷たい回答であった。これでは「対話」の出発点にすら立てない。そんな思いで集会を始めた。
●宇都宮理事長挨拶の後、私の駆けつけ支援と反貧困ネットワークの支援事業からの提言、原文次郎さんの「追い詰められる在留資格のない外国人支援」在日外国人支援の現場、猪股正弁護士の「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会相談会からの提言」寺内順子さん(大阪シンママ応援団)のシングルマザーアンケートの分析レポート、小泉なつみさん(ストップインボイス)のインボイス制度実施に向けての報告、雨宮処凛さんの女性の貧困リポート
●来年1月から特例貸付金の償還が始まる、私たちの支援現場の相談内容が更に広がり深刻になっている、貸付金を返済できない。もう家賃が払えない。今日の早朝も相談メールにこう書いてあった。「もう首を吊るしかない」生活保護と破産処理の組み合わせで相談体制の強化が求められている。生活保護の制度改善も求められている、不動産や自動車、生命保険など資産調査を緩和して生活扶助費だけでも利用できるように、物価上昇のなか、生活保護費を引き下げるのでなく引き上げること、早急に家賃補助制度や公営住宅に居住貧困に追い込まれている方が入居できるように、生存権が奪われている仮放免などの外国籍の方の生活保障、せめて医療費支給がないと死んでしまう、もう生きられない。
●野党政治家は、維新を除いて全ての政党が参加してくれた。しかし国会会期中で忙しいなかで短時間しか時間が割けない。支援現場の報告を聞き、対話する場が必要、「反貧困国会議連」をつくり定期的に協議し共に政策をつくる場がいよいよ必要なんだと思う。国会議員の挨拶が多く省庁との話し合いが短時間となってしまった事が悔やまれる。
●それにしても省庁の回答は一言でいえば「ゼロ回答」物価上昇での生活苦についても現状を共有していると思えない回答、「生活保護は自立できる方を対象にしている」と一部厚労省官僚の発言もでてしまう。貧困ビジネスや無料低額宿泊所の現状を説明しても反応しない。これでは対話にならない。一緒に現場を見たうえで状態を共有する事を基本とした「対話」現場で何が起きているのか確認しあわない限り、現状はいつになっても変わらない。それにしても在留資格を許可しないで入管に収容したり仮放免状態の方に対しての生存権を否定して「生きる権利を日本国籍と同様に与える事の不均衡」「送還すべき対象」と平然と回答されたら「対話」にならない。基本的人権がはく奪された外国人に「嫌なら帰れ」11月2日に移住連・アミーゴス・反貧困の三団体共催の「政府交渉」で更に「生きる権利」を求めていくしかない。
●国会議員会館をでて今晩も蒲田駅で所持金500円の方の駆けつけ支援、私たちの支援は延々と続く。いつまで持つだろうか。
【当日要請項目】
【全般】 厚生労働省
⓵物価高、光熱費等の上昇への対応としての生活保護費(生活扶助費)の引き上げを求める。また、猛暑が続く中、夏季加算の創設を求める。
⓶地方創生臨時交付金を迅速、効果的に使い、国の支援がいきわたらない事業者や困窮世帯を直接支援するよう働きかける。
⓷特例貸付利用者の破産申立等がすでに急増しており、償還が始まる23年1月以降、自殺者の増加等、一層深刻な事態となることが強く懸念される。償還免除の範囲の抜本的拡大と家計状況に応じた柔軟な償還猶予・少額返済の容認、多重債務を解決しつつ生活再建を支援する相談支援体制の拡充・広報の徹底を求める。
⓸貸付でもない生活保護でもない「給付付き税額控除制度」や最低生活費を下回る収入の世帯に資産調査なしで、生活扶助相当額を給付する制度の新設を求める。
【居住】 厚生労働省・国土交通省
⓹住居確保給付金制度を拡充・恒久化するなど民間賃貸住宅に暮らす低所得者を対象にした恒久的な家賃補助制度を創設するとともに、入居費用の無利子貸し付け制度の創設を求める。高齢者、ファミリー世帯だけでなく、若年単身者も含めたすべての低所得者を対象とする。
⓺公営住宅の入居要件を緩和、60歳未満、単身でも入居できるようにすることを求める。
⓻居住支援協議会とも連携して、民間の空き家住宅や老朽化した公社住宅を民から公が借り上げて確保し、入居基準を緩和し、単身者でも外国籍の方でも入居できるようにすることを求める。
【生活保護】厚生労働省
⓼親族に対する扶養照会を廃止するか、少なくとも申請者の同意を要件とすること、生活必需品である自家用車の保有を認めること、保護開始時の資産要件を少なくとも最低生活費の3か月分とすることなど、運用を改善することを求める。
⑨生活保護に対する忌避感を払しょくし捕捉率を高めるため、生活「保護」の名称変更、本格的で戦略的な政府広報を行うことを求める。
⑩コロナ前の2019年5月に生活保護を利用している人数は207万8707人。20年5月は2万人以上減って205万7703人、21年5月はさらに約1万7000人減って204万11人。22年5月はそこからさらに約1万6000人減って202万3336人(厚生労働省・被保護者調査より)。増えるはずなのに減っている背景には、忌避感だけでなく水際作戦もあるはず。福祉事務所での水際、追い返しを止めるように指導を徹底すること、申請時の就労指導との切り離し、無料低額宿泊所などの施設入所を強制しないことを求める。
⑪居住地を持たない要保護者にビジネスホテルおよび借り上げアパートの活用を求める
【住宅喪失者】 厚生労働省
⑫人権侵害をおこなう貧困ビジネス、囲いやが横行している。無料低額宿泊所の実態の把握および指導と保護行政の改善、、その契約やサービス、居室の環境などの実態を、入所者に対する調査を通して明らかにし、それを公表することを通じて必要な規制を求める。
⑬居住地を持たない、「ホームレス」状態にいる要保護者に対し、居宅生活を行う上で必要な支援を実施することを前提として、速やかに居宅生活へ移行するよう求める。
【生活困窮者自立支援】厚生労働省
⑭一時生活支援事業や地域居住支援事業における支援、緊急的な一時支援を居住支援事業として再編した上で必須事業化を求める。
⑮求職者支援制度の要件緩和を更にすすめ、認定、資格取得と専門分野の技能・実務に特化したカリキュラム内容から柔軟な制度に変えることを求める。
【学生】厚生労働省
⑯学生の約半数が奨学金を受給し、多くの人がその返済に苦しんでいます。日本学生支援機構の奨学金は、第二種奨学金(有利子)は例外的な制度として縮小し、2017年に創設された給付型奨学金は規模を拡大し、新所得連動型奨学金返還制度は対象を拡大したうえで一定期間の返済後は残債を免除する制度を導入することを求める
⑰アルバイト収入を失い、またはアルバイト収入が減少して、収入が保護基準を下回った大学生等に
対し、生活保護の利用を認めることを求める。
【インボイス】 財務省
⑱零細な事業者やフリーランスを苦しめるインボイスの導入は、ただちに中止することを求める。フリーランスにもセーフティネット充実を求める。
【女性】 内閣府 厚生労働省
⑲政策の前提として、コロナ禍における女性の生活・労働・貧困や減収の状態、家庭内のDV・虐待などについての大規模な全国調査を早急に行うことを求める。
⑳給付金などは世帯単位ではなく個人単位に給付することを求める。
㉑夫や家族の暴力から女性を守る対策を求める。今の制度では被害者が逃げて多くのものを失わなければならない。被害者ばかりが失う制度からの脱却が必要
【難民・移民】 法務省 外務省 内閣府
㉒現在の日本で在留資格がないことは、基本的人権がはく奪されたのと同じ状況である。非正規滞在の外国人すべてに対して、在留資格を付与するか、そうでなければ公的に生活保障することを求める。
㉓生活に困窮している外国人について、緊急の人道的対応が求められる場合には在留資格の有無やその種類にかかわらず日本人と区別することなく生活保護準用の対象に含めることを求める。
㉔国境封鎖や諸般の事情により帰国できず、日本で生計を維持しなくてはならない短期滞在者、難民申請者、仮放免者に対して就労を許可することを求める。
㉕仮放免者でホームレスになる者が続出している。民間シェルターでは対応しきれない。仮放免者への宿泊施設の提供(例えば、公営住宅の提供の確実な保障)あるいは宿泊費の公的な負担を求める。
㉖入管施設から仮放免された人のほとんどが、何らかの疾患をもち持病を悪化させている。健康保険がなく、就労も禁止されているため、医療費を払うことができず、病院に行けない。仮放免中は入管が医療費を負担することを求める。または健康保険に加入できる様にする。全ての医療機関で無料もしくは低額で診療を受けられる保証を行い必要な経費の公的負担を求める。
㉗日本で生まれた外国人(無国籍を含む)の子どもたちおよび日本で義務教育を受けている、あるいは卒業した子どもたちには将来に不安を感じることなく健全な生活を送る権利があるので日本社会への定着性を認め、無条件で在留資格を付与することを求める。
㉘外国人DV被害者の支援を求める。在留資格の有無や種類にかかわらず、すべてのDV被害者が一時保護施設を利用できるように通知を出すこと。在留資格がなかったり短期滞在の場合、DV被害を受けても外国人女性はシェルターに入居させてもらえない。お金もなく、日本に知り合いもおらず、頼る先のない外国人女性が実質シェルターから排除されている。(シェルターそのものには国籍や在留資格による制限はないのだが、自立できない(生活保護を利用できない在留資格だから)という理由で断られる)