【原発避難者から住まいを奪うな「住まいの権利裁判住まいの人権裁判第2回弁論】

裁判所より「意見陳述は、第一回期日のみ予定していた。」との連絡が弁護団に入った。原告からの意見陳述が制限される。甲状腺がん裁判など他の事件でも、東京地裁は、原告の意見陳述を制限することが多くなっている。今日午前の事前折衝で今回は原告Iさんの意見陳述は認められた。しかし次回からは認めないとの裁判長の判断となった。原告が負った苦しみや人権侵害の生の告発を封印してしまう司法の判断こそが人権侵害ではないのか!今日の被告側は福島県代理人弁護士一名のみ、不誠実極まりない。

●私たち原告側の準備書面では、「被告が原告らの親族に原告側の立ち退きを求めたことの違法性」「原告らの親族の氏名、住所を調べた方法に違法性」「原告からの損害」を訴えた。原告11名それぞれが強いられた苦痛や家族の分断、、福島県職員が本来、使ってはいけない「災害救助法」から導かれる親族情報を乱用、戸籍法の利用目的にも違反している。親族はセーフティーネット契約の連帯保証人でもない。

●福島県は、国連人権規約の「国内避難民の指導原則」には法的拘束力がなく従う必要がないと準備書面で主張した。裁判長は軽く流しているように見受けられた。国際人権法にも違反するような司法判断を許してはいけない。「国内避難民」は「自然、もしくは人為的災害の影響の結果として、または、これらの影響を避けるため、自らの住まい、もしくは、居住地から逃れ、または離れることを強いられ、または、余儀なくされた者。または、これらの者の集団であって、国際的に承認された国境を越えていない者を言う」と定義されている。

●福島第1原発事故の避難者調査を求めていた国連のセシリア・ヒメネスダマリー特別報告者(国内避難民の権利担当)が9月26日~10月7日に訪日し避難者、支援団体と面会し調査した。「災害がきっかけで避難をする人々の『避難する権利』は『人権』、すなわち『移動の自由』にかかわる人権である!!」~10.7日本記者クラブ記者会見で言い切っている。ヒメネス氏は、避難者の権利として、さらに対応が行われるべき点として、次のように言及した。第1に、『安全・安心に暮らせる権利』ということ、それから、『住宅に関する権利』ということ、そして、第2に、いわゆる『家族生活の権利』ということ。それから、第3に、いわゆる、『生計・生活に関する権利』ということ。 そして、さらに、第4が『健康への権利』、そして、第5が『教育の権利』、第6が『参加の権利』。これは、自分たちに関する、自分たちに影響を及ぼすような『決定のプロセスに参加をする権利』ということです」ことごとく日本政府と福島県は法的拘束力がなく、従う必要がないと言うのだ。

●10月14日に開催された国連自由権規約委員会の日本審査では多くの質問が日本政府にされた。ジェンダー平等に関する各分野での女性比率、刑務所の収容者への処遇、特にLGBTの方への対応や、代用監獄の問題、ヘイトスピーチ禁止に向けての努力、従軍慰安婦問題、沖縄の基地建設反対運動に対する弾圧、学校での国家斉唱の間に起立を強制する問題、朝鮮学校を公的支援の対象外としている問題、憲法改正の自民党案で自由権が奪われるのではないかという質問も日本政府にされた。難民認定率が極端に低く「食べられない、家賃が払えない、病院に行けない」―在留資格のない外国人は生きることも許されない。国連や世界からも指摘される国際人権法違反ばかりの日本、国策による原発災害で放射能から逃れた人々の居住権すら奪い、被害者を裁判で被告にして住居から追い出す。

・避難指示区域外から自主的に避難した方で、避難先で自ら命を絶ったHさんの事を思う。今日の報告集会で1名の遺影、原告のAさんは本来、今日の意見陳述を行う予定だったが7月29日、自宅で急死した。体調が悪いなかで、原告団をまとめてくれていた。避難先で非正規の仕事しかなく苦労していた。47歳だった。彼の無念を晴らしたい。

●住まいの人権裁判は原発被災者の人権裁判!

次回は2023年1月16日(月) 14:00~開廷、

場所 東京地裁103号大法廷 法廷は満員にして人権を守る闘いを応援しよう。