❶四谷の聖イグナチオ教会ヨセフホールで開催された五十嵐弘志さん(マザーハウス理事長)との特別対談「貧困と孤独の支援現場からの声- 知ってほしい あなたが暮らす社会の痛みー困窮者支援と受刑者・出所者支援の現場からー」に呼んで頂きました。 進行は柳川朋毅さん(イエズス会社会司牧センター・「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク)柳川さんとは私が支援していた相談者が窃盗罪で拘留されてしまい上申書を提出、東京地裁での裁判傍聴の際に地裁内で会って以来だった。

*五十嵐さんとはワーカーズコープと共催している「仕事づくり仕事探し交流会」の場で出会った。私が約二年間の駆けつけ支援からアパート入居支援の活動の中で多くの犯歴を持つ相談者と出会ってきた。少年期から続く貧困が原因で万引きや窃盗経験者が多い。「やり直しが許されない冷たい社会」厚労省調査によると再犯者の70%が無職だったとの事、現在の社会は元受刑者に反省を強く求め、回復をさせない状況にあると五十嵐さんは言う。生活保護申請同行の現場でも差別や偏見に基づく福祉事務所の対応が頻繁にある。「無料低額宿泊所」に無条件に誘導される。集団部屋入所で3カ月~6カ月の間に自立生活ができるか判定される。集団生活が嫌で失踪、再度の野宿生活の繰り返し、再犯のリスクが高まる。こんな繰り返しだ。「再犯防止推進法」はどこまで機能しているのであろうか、仕事や住居がないため社会復帰がむずかしい状況の方に出所後に充分な就労支援をおこなわれているのだろうか。満期出所者から時々、電話が来る。「昨日**刑務所から出所した。所持金が100円、助けてほしい。」野宿先の公園に駆けつけて生保申請同行をおこなう。何故、出所後のケアがされずに放置されてしまうのだろう。コロナ災害で「底が抜けた貧困」このような状況下でも雇止めや住居追い出しは容赦なく頻発している。福祉事務所でも追い返しが頻発して「誰にも助けてと言えない」所持金が枯渇して万引きや窃盗するしかない。これって全て「自己責任」なのだろうか。「社会や政治が追い込んだ責任」真の犯罪者は誰なのか、、私はそう思う。

*五十嵐さん自身が前科3犯、受刑歴約20年、獄中で主イエス・キリストと出会い、出所後にカトリックの洗礼を受け、祈りと真の愛の実践をめざして受刑中の人や刑務所から出所した人々のケアに奔走。2014年5月にNPO法人「マザーハウス」を正式に立ち上げ、現在、全国の受刑者との文通プロジェクト、出所者の生活、就労サポートをおこなっている。五十嵐さんは何回も教育の必要性を強調した。「刑務所というものを知って、元受刑者とともに社会で生きるためにどうすればよいかということを考えてほしい」私が出会った相談者が泣きながら訴えた事。「職場に元受刑者であることを知られ、会社の世間体のために退職を余儀なくされた。」この当事者から哀しみを直接聞いてほしい。当事者から学ぶ場づくりの重要性を何度も強調していた。

❷今日、嬉しい事があった。昨晩の深夜にメールが届いた。「自分で死ぬことが、最後の最後に恐怖で出来ませんでした。もぅ一度最後に助けて頂けませんでしょうか。」上野駅の連絡通路からだった。4日前によく通っている福祉事務所で生保申請同行した青年、、順調に申請受理されたが、他の福祉事務所で相談歴がないか確認を終えた相談員が激怒して戻ってきた。「10年前に生保を受給していた事を何故言わなかったんだ。ビジネスホテルは認められない。アパート入居も様子を見てからの判断だ」何回も何回も繰り返し青年を追い込んだ。青年は上野公園で野宿していた時に少年から空き缶を投げつけられた事を話していて泣いていた。彼は傷ついていた。10年前の事をただ言えなかっただけなんだ。何でそこまで追い込むのか。私は「伴走していくから生保を利用してもう一度始めよう」と説得したが、彼は私に「ゴメンナサイ」といって立ち去った。10年前の事を持ち出してあれだけ怒る必要もないのに、、、メールが来た。「本当に本当にごめんなさい!!頼れ!って言って下さったのに頼れなかった僕を許して下さい。」私は何回もメールを出し続けていた。返信を待っていた、生きていてほしい。根底にあるのは「冷たすぎる社会」と「やり直しが許されない社会」自己肯定感を奪い続けている。上野駅から歩いてイベント終了後のイグナチオ教会まで歩いてきてくれた。「あの時、守り抜けなくてゴメン」来週にいちばん信頼できる相談員がいる福祉事務所で再度の生活保護申請同行、今度は平気だよ。もう傷つけたくない。